皐月・八十八夜 お茶の一年の始まりの季節を愉しむ日本茶


毎日の日本茶暮らし

短い桜の季節も、地域によってはすでに終わりを迎え、そろそろ新緑にあふれた初夏の香りを感じる季節になってきたでしょうか?少し前まで朝晩はちょっと冷えると感じていたかもしれないですが、もう昼間は動けば汗ばむ陽気。外へ出かける足も軽く、散歩だけではなく、ちょっとハイキングとかキャンプとか、活動の幅も広がっていく季節かもしれません。5月に向けて、いろいろと愉しみにしているという方も多いのではないでしょうか?

毎日の日本茶暮らし

5月と言えば、八十八夜。日本茶にとっても5月の始めは一年の中でも特別な時期。今年は5月1日に、八十八夜を迎えます。八十八夜は季節を知らせる雑節のひとつで、立春から八十八日目の日を指します。「夏も近づく八十八夜」と唱歌にも歌われるように、古くから一番茶を摘むのは八十八夜の頃。煎茶が庶民の間でも飲まれるようになった江戸時代の中頃くらいから、各地で栽培も盛んになり、絣(かすり)に赤いたすきがけの茶摘みの衣装が、この季節の風物詩となりました。

 

ちなみに、一番茶を摘んだ後に肥料を施すのを「お礼肥(おれいごえ)」というのだそうです。美味しい新茶を提供してくれた茶木に「お礼」することを忘れず、それ以降の二番茶、三番茶を摘んでいく―自然の恵みを感謝するこの言葉に、自然と寄り添う日本の文化の片鱗を感じることができます。

そして八十八夜に関連してもうひとつ。「八十八夜の別れ霜」という言葉をご存じでしょうか?「八十八夜の忘れ霜」とも言われ、急に気温が下がって遅霜(晩霜)が降り、農作物に被害を与えることを警戒した言葉です。ただ、「別れ霜」という言葉の通り、八十八夜が過ぎれば、遅霜が降りることは少なくなり気候も安定します。そのことから八十八夜は昔から農作業の目安とされ、種まきなど本格的な農作業を開始する時期でもあります。茶摘みだけではなく、日本の農業にとって八十八夜は、まさに一年の始まりの大事な区切りでもあるようです。

確かに、八十八夜を過ぎれば、暦は「立夏」。新緑の香り、すがすがしい薫風、少し強くなった陽射し。初夏らしい晴れた日がこの時期は続きます。農業に限らず、私生活においても、バタバタと新生活の始まる4月の春の季節以上に、これから始まる新しい季節へ向けて前向きな気持ちになるのは、私だけでしょうか?別れと出会いが交錯して、散りゆく桜に無常を感じる晩春に比べて、純粋に一歩足を出して、何かを始めたくなる、そんな日常生活の区切りが、八十八夜なのかもしれません。

毎日の日本茶暮らし

5月のNAGOMU TEA BOXでは、八十八夜に相応しい、お茶にとって新しい一年が始まるこの季節を愉しむ日本茶をご提案します。ひとつの季節の区切りを迎えて、新しい季節を感じる新緑の香りと風と陽射し。その中で存分に日本茶の神髄を味わっていただきたく、非常に希少価値の高い、この季節だからこそ味わえる3つの煎茶をお勧めします。

まず最初の一品は「山の煎茶 摩利支(まりし)」。一時期育成者が途絶え、生産されないまま、数年間市場に流通することもなかったまさに幻のお茶です。水色は濃い緑色。茶葉の力強さを感じる香りに、出汁のような濃厚な旨味は、カリスマ的な天才肌の存在感があります。

ふたつめは「山の煎茶 大久保・おおいわせ」。磐田原台地の恵まれた環境で育まれた茶葉を、優しく火入れし、新緑の若葉を感じる爽快な香りにあふれたお茶に仕上げました。甘渋苦(かんじゅうく)のバランスに優れ、三位一体の滋味を愉しむことができます。

そして最後は同じく大久保で育った「山の煎茶 大久保・つゆひかり」。甘味、旨味が際立つのに加えて、草原の香りが特徴的な煎茶です。濃く淹れても苦みや渋みが突出せず、冷めてもなお草原の香りが漂います。この初心者でも飲みやすい大久保・つゆひかりを愉しみながら、本格的な日本茶暮らしを始めてみませんか。

3つの日本茶とともに、新しい季節を迎えるこの区切りの季節に、日本茶の神髄を味わっていただきながら、ほっとひといきついていただけることを願っています。

それでは、お茶とともに感じる色に満ちた生活を。Life is colourful.

現在ショップでは、5月からの定期購読やお試しBOXの予約を受け付けています。興味のある方はこちらから。


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