6月は「入梅」。文字通り、「梅雨に入る季節」と梅雨の始まりを告げる時候のあいさつです。ちなみに梅雨はもともと「黴(かび)」の「雨(あめ)」とつなげて「黴雨(ばいう)」、黴を生じさせる長雨という意味だったそうですが、音が同じことから「梅(ばい)」に置き換えられて「梅雨」になったようです。ちょうど新暦の6月中旬にかけて、七十二候では「梅子黄(うめのみきばむ)」といわれ、梅の実が黄ばんで熟す時期とも重なったことから、風情を感じる「梅雨」という言葉が使われるようになったのかもしれません。長雨の中で、ほんのりと黄色く熟す梅の実、昼間でも曇って薄暗くなるこの時期に、かすかな明かりをもたらす存在だったのでしょう。
梅は、日本最古の医学書『医心方』の中でもその効能がうたわれている通り、薬用としても、古来から親しまれてきました。長雨が続く梅雨の時期、雨に加えて、25度を超す日も増え少しずつ暑さが増していきます。日照時間と気圧が原因で自律神経が乱れ、体の不調が出てくるとともに心も沈みがち。体温調節が難しいため冷えからくる「夏バテ」ならぬ「梅雨バテ」という言葉もあるくらいなんだそうです。そんな季節の変わり目の体調管理が難しい時期、みなさんはどのような工夫をして過ごしていますか?強い抗菌力を持ち、疲労回復に効果があるクエン酸をたっぷり含んだ梅は、この時期にぴったりかもしれません。
今は簡単にお店で出来上がった梅干しが手に入りますが、この梅雨に入ろうとする時期に、すこしだけその手間をかけて梅仕事をするのが、我が家でも毎年の恒例行事となっています。梅干しに加えてジャムやシロップ、梅酒など、バリエーションを増やすとその愉しみも膨らんでいきます。少し酸っぱかったり、ちょっと不格好だったり、それでも時間をかけて育ててきたことで愛着も生まれてきます。来年の梅雨の時期に、すっかり立派に育った梅たちに出会うために、そんな梅仕事をしてみるのはいかがでしょうか。もちろんその梅仕事の合間のひとときに、お茶を一緒に楽しむことも忘れずに。
多くのお茶にとって新茶の時期といえば5月ですが、実は、少し標高が高い山間の畑で育てられる「山の煎茶」の多くが、この時期に収穫の最盛期を迎えます。ある意味梅雨の足音が聞こえる6月の上旬が新茶の時期といってもいいかもしれません。ちょうど多くの「山の煎茶」の新茶が出回りはじめるこの時期の美味しいお茶を、冷茶はもちろんのこと、温かいお茶をとって、冷房に慣れていない身体の冷えをリセットするのもいいかもしれません。
6月1日にお送りするNAGOMU TEA BOXでは、山の煎茶を代表する茶葉のひとつ、静岡・川根の香駿をお送りします。収穫後、丁寧に冷暗所で約14時間萎凋を進めた茶葉は、丸みのある上質の香りが特徴的で、今までのお茶の概念を大きく変えるような強い意志と個性を感じるお茶です。そして、その川根の香駿に加えて、多様な日本茶のありかたを象徴するような二つのお茶、阿波晩茶とバジルの煎茶も合わせてお愉しみいただけます。
3つのお茶とともに入梅の時期に涼を愉しむ生活を過ごしていただけることを願っています。
それでは、お茶とともに感じる色に満ちた生活を。Life is colourful.
現在ショップでは、6月からの定期購読やお試しBOXの予約を受け付けています。興味のある方はこちらから。
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